Love Is All You Need: The Revolutionary Bond-Based Approach to Educating Your Dog
ネットで話した人が奨めてくれたJennifer ArnoldのBond-Based法の本です。彼女曰く、頑固な犬にも効果あった、家族にも奨めているということです。
前書きは女優のジュリア・ロバーツさんです。
食べ物、力を使わない関係ベースのトレーニングは、口うるさいお母さんのしつけのイメージだったり、ラブやゴールデンなどのサービス犬に使われている場合が多かったので、興味をもって調べたことがありませんでした。
アメリカ系ホリスティックっていう分野になると思います。
先日の記事のルーガスに代表されるようなヨーロッパ系とアメリカ系の違いは、文化や行動学のアプローチに違いにあるのではないかなぁと思います。
ヨーロッパは動物行動学(ethology)的なアプローチでちょっとヒッピーぽい、アメリカは行動心理学的なアプローチでビジネス的、アカデミックな世界はよくしらないんですが学問的な対立も多い分野のようですね。(苦笑)
クリッカートレーニングもアメリカの技術なので、アメリカではその影響力が強いのだと思います。ヨーロッパのトレーナーはクリッカートレーニングでも誘導は使わないでシェイピングが主に使われているそうで、結果を急ぐというより、より自主性を重視しているのか、単にトレーニング技術が高いのかもしれません。
著者のJenniferさんも、陽性強化ベースのトレーニング法で力や痛みをつかった犬のトレーニング法から抜け出さたけど、これが犬のトレーニングの完成ではないという気持ちがあったそうです。そして、新しい方法を求める情熱にも共感できました。
Jenniferさんは子供のころに病気が原因で体が不自由になりました。当時、介助犬が普及し始めたときだったので、州外に住むJenniferさんにはサービス犬の譲渡は難しいといわれました。医師でもあったお父さんは、犬好きのJenniferさんの生きる希望にもなると思い、自分たちで介助犬を育てることを提案します。自分の介助犬を訓練するだけではなく、法人登録もするという本格的な計画でした。しかし、法人登録の手続きで外出中の事故でおとうさんは亡くなってしまいます。医師の父を亡くし、経済的な状況も変わり、サービス犬の訓練センターを開くことはできませんでした。
そして、時間はかかりましたが、Jenniferさんはサービス犬の訓練センターを開くというお父さんとの夢を実現させることができました。ここがとてもアメリカンな感じがします。この経験が新しいトレーニング法を導く原動力になったんじゃないかなぁと思います。
世界中で行われている犬のリサーチをもとに、新しいトレーニング法を考えだし、訓練センターで試すということを繰り返し、他のトレーナーにも発表できるまでになりました。そして、Jenniferさんの話を聞いたトレーナーからペットの犬にも使えるとフィードバックをもらい一般にも使えるようなトレーニング法としてまとめられたようです。
軸になるのは、インプリンティングの応用を利用した社会的学習法なんじゃないかなぁと思います。
ヒナが初めにみたものを親だと思うというような強いものではなく、人が頼れる保護者、兄弟、先輩、上司などの間で起こる関係性に似たものが犬との間にも起こるというのがベースになっているのだと思います。
従来の「主従関係」をもとにした考えとは異なりますが、上下関係、犬のボスになる、パックリーダーとかの言葉も使えなくなってきたので、この関係性を使うというところで拒否反応を示す人も多いようです。
私も「犬は人を喜ばせるのが好き」、「飼い主をハッピーにさせるのが好き」というのを利用して犬に使役させるのはちょっと抵抗を感じましたが、ホリスティック系のトレーナーは哲学か宗教かって感じの話が多い中、丁寧に方法論がまとめられている(そこまでいくのに本半分ぐらい読まないといけなかったけど)ので試してみたいアイディアが沢山詰まっていました。
「食べ物をシェア」というのを早速試してみました。ココもジェイクもこれには文句ないようです。笑
これはもともとおっさんがやってることだけど・・・。
あと、他のホリスティックのトレーニングに比べて、人の言葉によるコミュニケーションが多いという特徴もあると思いました。トレーニングという言葉も避けて、「言葉を教える」と呼んでいるそうです。
興奮のレベル(demeanor)、行動(action)、姿勢(position)、名詞に分けて、犬と人のコミュニケーションを高める言葉を教えています。
例えば、状況や人のボディランゲージから休憩だなと判断できるように習慣づけることもできますが、興奮のレベル(demeanor)に使う言葉で「リラックス」と言って、しばらく興奮することも起こらないし、休憩したらという情報だけで、オスワリやフセなどの姿勢を指定する言葉を使わないというところが特徴だと思います。飼い主の態度(demeanor)は、犬はコピーするものだとおもいますが、「リラックス」を教えるときにフセが多かったらフセのことだと思わないのか、興奮のレベル(demeanor)の概念を教えることができるのかという疑問はありました。
ゲストに挨拶する時は「オスワリ」という行動ではなく、この状況では落ち着くというルールを教える。状況にあった興奮のレベルのルールを飼い主が決めても、犬にとっても公平なのではないかとの考えのようです。
エクササイズも、記憶を鍛える、行動抑制、身体能力を高めるものなどターゲットを絞ったものが提案されているのがよかったです。
「
Do As I Do」のような模倣をつかった方法も取り入れられていました。
距離があるトレーニングだとEカラーに頼る方法しか残されていないとおもっていましたが、模倣学習で何とかなるかもというヒントも得たのでジェイクで試してみたいと思います。
私がジェイクと一緒におっさんから離れて、おっさんがだす指示に従っているところをみせて、言葉の意味は教えられそうです。従うかどうかは別問題だけど、もともと社会性の高いジェイクならと期待しています。
でも、おっさんに話したら、「今日はやりたくない」だって・・・。やっぱり飼い主の社会性の問題ですね。
陽性強化の次になるものを探していて、ルーガス系がヒッピーすぎるという人には、よいオプションなんじゃないかなぁと思います。