危険な犬をコミュニティから排除することを目的に、特定の犬種の飼育を規制するBSL(特定犬種規制法)という法律があります。
20年以上前に英国で制定されたピットブルや土佐犬など闘犬種の輸入を禁止した法律が、その後各国で導入されたBSLの始まりと言われています。
法の効果がないとしてBSL法を廃棄した自治体もあれば、犬の事故がきっかけで新たにBSL法を設けるところもあります。
BBCのドキュメンタリー「Dangerous Dogs」では、「犬の一番の友達」と自負する英国で、健康で危険でもない犬をBLS法のもと殺処分しなければいけないジレンマに直面しながらも、法の改正に踏み切れない英国のBSL法の現状をミュージシャンのProfessor Greenがレポートしていました。
禁止犬種の違法な飼育、子犬の違法販売ははびこるばかりの英国。一方、一般の飼い主は飼っている犬が禁止犬種に似ているというだけで、法的ないざこざに巻き込まれ、最悪なケースで愛犬を失う。
イギリスでは、ピットブルという犬種は登録されていない犬種なので、ピットブルのような見た目の犬が法の対象になります。ブルドック系の犬種もあるので、ピットブルのような見た目の犬は出来やすい環境にあると思います。
イギリスの犬種であるスタッフォードシャー・ブル・テリアは対象ではないので、スタフィーのミックスだと思って飼っている人が多いようです。
そして、「ピットブルのような見た目」は、定規をつかって測定されます。
この方法が、冗談でしょというぐらい時代遅れを強く感じさせます。
https://youtu.be/lW8Z9m4jr-4?t=24m16s
番組で取り上げられていた犬(上のビデオ)は、測定でピットブルタイプと判断されたため、今後のことは裁判所の判断になるそうです。
飼い主がいないところで知らない男性2人に囲まれて、顔を挟むような定規で体を測定されても、暴れもしない。
測定した男性も、この犬のことを「ラブリー」と評価しました。でも、犬種の判断には決められた測定のみが使われます。
(後日、裁判所の判断でこの犬を飼ってもよいということになりました。)
繰り返し、「犬を飼うべきでない人間が禁止犬種を所有している」ことが問題の根本であることが指摘されていました。
原因もちゃんと分かっているのに・・・
番組では、BSL法の倫理的な問題の指摘はありましたが、解決策の提案がなかったのがちょっと残念でした。
犬が嫌いな人が基準の法律なのかもと思います。
BBCがBSL法で健康で問題のない犬が殺処分されているということをパブルックにみせる意義はあったのではないかと思います。
同じくProfessor Greenが、シェルターを訪れたビデオ。
迷い犬としてシェルターに収容されたCaramel、ピットブルタイプの犬の可能性があるので特別な審査を受けることになっています。
Professor Greenも内心Caramelがピットだと思っているのに、愛らしく振舞うCaramelをみて、「ピットじゃないよね」と話しかけている姿に涙・・・
https://youtu.be/bHadSBuq7Us?t=2m40s
[審査の結果、Caramelはピットブルタイプでないという判断でした。TVの取材が影響したのかもしれませんね。]
犬が嫌い、ピットブルタイプの犬が嫌いだからBSLを支持する人もいると思うのですが、Caramelのような犬を見た目だけの理由で殺処分している社会に問題があるように思います。
国の偉大さ、道徳的発展は、その国における動物の扱い方で判る。
- マハトマ・ガンジー